住み替えの理想は、今の家の売却と新居の購入をほぼ同じタイミングで完結させる「同時決済」です。仮住まいの費用がかからず、ダブルローンの負担もなく、引っ越しも1回で済みます。
しかし、仲介(市場で個人の買主を探す売却方法)で同時決済を実現するのは、実際には非常にハードルが高いのが実情です。
買主がいつ現れるかわからず、現れたとしても買主の住宅ローン審査や引き渡し希望時期に振り回されるため、「売却」と「購入」のスケジュールをぴったり合わせるのは容易ではありません。
そこで注目したいのが、不動産会社が直接買主となる「買取」です。
買取は仲介と比べて売却価格が下がる傾向にあるものの、「売却価格が事前に確定する」「引き渡し時期を柔軟に調整できる(買主となる不動産会社が対応してくれるケースが多い)」という2つの特長があり、住み替えとの相性が良いのです。
この記事では、仲介での住み替えに潜むリスクと対比しながら、売却と購入を同時に進めるなら買取が適している理由を解説します。
あわせて、実際に買取で理想的な住み替えを実現した売主様の成功事例もご紹介します。
住み替えの3つの進め方と「同時決済」の難しさ
住み替えでは「元の家の売却」と「新居の購入」という2つの取引を進める必要があり、どちらを先に行うかで以下の3パターンに分かれます。
| 進め方 | 内容 | 主なデメリット |
|---|---|---|
| 売り先行 | 売却してから新居を購入 | 新居が決まるまで仮住まいが必要になりやすい(賃料・敷金礼金・引っ越し2回分の費用) |
| 買い先行 | 新居を購入してから売却 | 売却完了までダブルローンの負担。売却額が想定より下がると資金計画が崩れる |
| 同時決済 | 売却と購入の決済をほぼ同時に行う | スケジュール調整の難易度が非常に高い |
同時決済は、売り先行・買い先行それぞれのデメリットを解消できる理想的な方法です。しかし、仲介で同時決済を目指す場合、自分ではコントロールできない要素が多すぎるという問題があります。
- そもそも買主がいつ現れるかわからない
- 買主の都合(住宅ローン審査、引っ越し時期)にも合わせる必要がある
- 新居側も、希望の物件がタイミングよく見つかるとは限らない
どんなに綿密に計画を立てても、「売り」と「買い」の両方が他人のスケジュールに依存している以上、計画どおりに進まないリスクは常につきまといます。
▼関連記事:同時決済で住み替えするための手順は?費用負担を抑えるためのコツも解説
仲介(個人間売買)での住み替えに潜む3つのリスク
同時決済の難しさに加えて、仲介での売却には住み替え特有のリスクがあります。「高く売れる可能性がある」という仲介のメリットの裏側にあるデメリットを、具体的に見ていきましょう。
リスク1:売買契約後でも「ローン特約」で白紙解除される可能性がある
個人の買主のほとんどは住宅ローンを利用して物件を購入します。そして、住宅ローンの本審査は売買契約を締結した後に行われるのが一般的です。
このとき、売買契約書には通常「住宅ローン特約(融資特約)」が盛り込まれます。これは、買主の住宅ローン本審査が通らなかった場合、違約金なし・手付金全額返還で契約を白紙解除できるという買主保護の特約です。
売主の立場から見ると、これは「売買契約を結んでも、買主のローン審査が終わるまでは売却が確定しない」ことを意味します。
住み替えでは、売却の目処が立ったことを前提に新居の購入を進めるケースが多いため、新居の契約後に売却が白紙になると資金計画が根本から崩れてしまいます。
最悪の場合、新居の手付金を放棄して購入を諦めるか、急いで新しい買主を探して足元を見られた価格交渉を受け入れるか、という厳しい選択を迫られることになりかねません。
リスク2:引き渡し時期の柔軟性は買主次第
「今の家の引き渡しは、新居が決まってからにしたい」——住み替えではごく自然な希望ですが、仲介ではこれが通るとは限りません。
個人の買主にも「子どもの入学までに引っ越したい」「今の賃貸の更新前に入居したい」といった事情があり、引き渡し時期は交渉 次第です。
売主側の希望で引き渡しを先延ばしにする「引き渡し猶予特約」を付けることもありますが、買主にとってはメリットのない特約であるため、交渉のハードルは高く、認められても数日〜1週間程度の短期間にとどまるのが一般的です。
結果として、売却が決まってから引き渡しまでの1〜2ヵ月程度で新居を探さざるを得ず、焦って妥協した物件を選んでしまったり、間に合わずに仮住まいが必要になったりするケースが少なくありません。
リスク3:査定額どおりに売れるとは限らない
仲介の査定額は、あくまで「この価格なら売れる可能性がある」という予想値です。実際の成約価格は市場の反応次第で、売却活動が長引けば値下げを検討せざるを得なくなります。
「査定額3,000万円を前提に新居の予算を組んだのに、実際は2,700万円でしか売れなかった」といった事態になれば、住宅ローンの完済計画や新居の頭金に直接影響します。
売却額が確定するまで、住み替え全体の資金計画が「仮」のままであることが、仲介での住み替えにおける最大の不安要素と言えるでしょう。
売却と購入を同時に進めるなら「買取」がおすすめの理由
不動産会社が直接買主となる買取では、上記のリスクが構造的に解消されます。住み替えとの相性が良い理由を4つ紹介します。
理由1:出口の価格が最初に確定するから、資金計画が崩れない
買取では、不動産会社が提示した買取価格=実際の売却価格です。
仲介のように「売り出してみないとわからない」ということがなく、住み替えのスタート時点で「手元にいくら残るか」が確定します。
- 住宅ローン残債を完済できるかが最初にわかる
- 新居の予算を確定した数字で組める
- 「売れなかったらどうしよう」という不安なく新居探しに集中できる
特に住宅ローン残債がある方にとって、「残債を確実に完済できる金額か」を最初に確認できる安心感は大きなメリットです。
理由2:買主のローン否決リスクがなく、契約後に白紙になる心配がない
買取の買主は事業として物件を購入する不動産会社であり、個人の住宅ローン特約のような白紙解除の仕組みは基本的にありません。売買契約を結んだ時点で、売却はほぼ確定します。
「売買契約後にローン否決で振り出しに戻る」という仲介最大のリスクがないため、売買契約の締結をもって安心して新居の購入手続きに進むことができます。
理由3:引き渡し時期を柔軟に調整できるから、仮住まいなしで住み替えられる
買取の買主である不動産会社は、購入した物件をリフォームして再販売することを前提としているため、個人の買主のような「◯月までに入居したい」という事情がありません。そのため、売買契約から引き渡しまでの期間に猶予を持たせる交渉がしやすいのが大きな特長です。
「売買契約で売却価格を確定させたうえで、引き渡しまで数ヵ月の猶予をもらい、その間にじっくり新居を探して、新居への引っ越しと同時に引き渡す」という進め方ができれば、仮住まいの費用も、引っ越し2回 分の手間も、ダブルローンの負担も発生しません。
これは、仲介の同時決済で目指していた理想を、はるかに低いハードルで実現できるということです。
実務上、買取の場合は売買契約から3ヵ月程度の引き渡し猶予であれば認められやすく、それ以上の期間でも応じてもらえるケースは珍しくありません。
理由4:スピードと手間の面でも住み替え向き
買取には、住み替えを後押しするメリットが他にもあります。
- 売却期間が短い:販売活動が不要なため、条件がまとまれば数週間〜1ヵ月程度で契約まで進められる
- 内見対応が不要:住みながらの売却で負担になる、週末ごとの内見対応や掃除が不要
- 周囲に知られず売却できる:広告を出さないため、近所に知られずに住み替えを進められる
- 契約不適合責任が免除されるケースが多い:引き渡し後のトラブルリスクを抑えられる
買取のデメリット:売却価格は仲介より低くなる
ここまで買取のメリットを紹介してきましたが、買取価格は、仲介での想定売却価格の7〜8割程度になるのが一般的であり、この点がほぼ唯一、かつ大きなデメリットです。
不動産会社が買取して再販売する際のコストや利益を差し引いた金額で取引されるため、仲介よりも金額が安くなる。
不動産会社はリフォーム費用や再販売時の利益を見込んで買い取るため、市場価格そのままでは購入できません。「1円でも高く売ること」を最優先するなら、時間をかけて仲介で売却するほうが有利です。
ただし、住み替えにおいては、単純な売却価格の比較だけでは判断できません。以下のような仲介で発生しうるコストとリスクを差し引いて比較することが重要です。
| 比較項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 高くなる可能性がある(確定は成約時) | 仲介の7〜8割程度(最初に確定) |
| 仲介手数料 | かかる(売却価格の3%+6万円+消費税が上限) | 原則かからない |
| 仮住まい費用・引っ越し2回分 | 発生するリスクあり | 引き渡し猶予により回避しやすい |
| ダブルローン | 発生するリスクあり | 回避しやすい |
| ローン特約による白紙解除 | リスクあり | 基本的になし |
| 売却期間 | 3〜6ヵ月以上かかることも | 数週間〜1ヵ月程度 |
たとえば仲介と買取の価格差が500万円あったとしても、仲介手数料(売却価格3,000万円なら約105万円)、仮住まい費用と2回分の引っ越し費用(数十万〜100万円超)、売却が長引いた場合のダブルローンなどを考慮すると、実質的な差は見た目ほど大きくないケースもあります。
さらに、「売れないかもしれない」「白紙になるかもしれない」という不確実性を抱えたまま数ヵ月を過ごす精神的な負担も無視できません。
価格差を「確実性と時間を買うコスト」と捉えられるかどうかが、買取を選ぶかどうかの判断基準になるでしょう。
▼関連記事:住み替えで買取を利用すべきケースとは?買取保証付き仲介の注意点も解説
買取で住み替えに成功した事例
ここからは、実際にイエウリを通して買取で売却し、理想的な住み替えを実現した売主様の事例を2つご紹介します。
事例1:引き渡しまでの猶予をもらい、焦らず新居を探せた(神奈川県・マンション)
神奈川県の区分マンションを買取で売却された齋藤様は、売却時点で住み替え先の候補はある程度絞れていたものの、まだ具体的には決まっていない状態でした。
買主となった不動産会社は、その状況を踏まえて「引き渡しまでの時間にゆとりを持たせる」ことを提案。「売買契約から引き渡しまでの期間を短くしてしまうと、焦って次の家を探すことになり、妥協した住み替えになってしまって良くない結果が生まれるリスクがある」という配慮からでした。
齋藤様はこの提案を受けて「売却と次物件の購入、どちらも安心して進められると思った」と振り返り、住み替えを成功させる条件として「売却金額、スケジュール感、そして安心感の3つ」を挙げています。
売買契約で出口を確定させたうえで、猶予期間を使ってじっくり住まい探しを進める——まさに買取ならではの住み替えの進め方です。
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個人情報を守りながら誠実な不動産会社が見つかる
事例2:金額のブレがない買取で、売却も購入も一貫して任せられた(東京都・戸建て)
移住を機に東京都の戸建てを売却された玉木様の不安は、「住宅ローンの残債をきちんと清算できるか」でした。机上査定では良い金額が出ていたものの、実際に内見してもらったら金額が下がるのではないか、という心配です。
しかし、買主となった不動産会社の査定は机上査定どおりの金額のまま。この会社では、必ず銀行から評価額の内諾を得た状態で売主に査定金額を提示しているため、「机上査定では3,000万円だったのに内見後に2,500万円になった」というような金額のブレがほぼ起こらないのだといいます。内見時には「条件が折り合えばその場で購入する」つもりで臨んでいるとのことでした。
査定額=買取額として最初から信頼できる金額が提示されるため、玉木様は残債の清算に不安を抱えることなく住み替えを決断。さらに、移住先の物件購入も同じ不動産会社がサポートし、売却時期と購入時期がずれない理想的な住み替えが実現しました。
▼インタビュー全文はこちら
信頼できる不動産会社の見極め方
買取での住み替えを成功させる3つのポイント
最後に、買取を活用した住み替えを成功させるために押さえておきたいポイントを紹介します。
ポイント1:必ず複数社の買取査定を比較する
買取価格は不動産会社によって大きく異なります。1社の提示額だけで判断すると、相場より安く手放してしまうリスクがあります。複数社の査定を比較することで相場観が掴め、極端に高い(あるいは低い)査定を見抜けるようになります。
なお、根拠なく高い査定額を提示し、後から大幅に減額する会社も存在します。金額の高さだけでなく、査定根拠を具体的に説明してくれるか、物件の悪い面も含めて正直に伝えてくれるかを見極めましょう。
▼関連記事:不動産の買取査定は何社に依頼すべき?多くの買取業者に査定してもらう方法は?
ポイント2:住宅ローン残債と買取価格を照らし合わせる
住宅ローン残債がある場合、売却金と自己資金で残債を完済できなければ売却自体ができません。買取査定を受けたら、残債・諸費用を差し引いて手元にいくら残るのかを必ず確認し、新居の資金計画に落とし込みましょう。
買取なら提示額=売却額なので、この計算を確定した数字で行えるのが強みです。
ポイント3:引き渡し時期の条件を契約前に相談する
引き渡しまでの猶予をどの程度持たせられるかは、不動産会社との相談次第です。「新居が決まるまで◯ヵ月程度の猶予がほしい」という希望は、査定・商談の段階で率直に伝えておくことをおすすめします。
住み替えの事情を理解し、柔軟なスケジュール提 案をしてくれる会社かどうかも、会社選びの重要な判断材料になります。
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まとめ
家の売却と購入を同時に進める住み替えでは、仲介の場合「買主がいつ現れるかわからない」「ローン特約で契約後に白紙になるリスクがある」「引き渡し時期の融通が利きにくい」といった不確実性が常につきまといます。
一方、買取なら出口の価格が最初に確定し、引き渡し時期にも猶予を持たせやすいため、仮住まいもダブルローンもなしで、腰を据えて新居を探すことができます。売却価格は仲介より低くなるものの、仲介手数料や仮住まい費用が不要になることを考慮すると、実質的な差は見た目より小さくなるケースも少なくありません。
「高く売ること」よりも「確実に、スムーズに住み替えること」を優先したい方にとって、買取は有力な選択肢です。まずは仲介と買取の両方の査定を受けて、価格差と住み替え計画への影響を具体的な数字で比較してみることから始めましょう。
イエウリなら、個人情報を不動産会社に開示せずに、仲介・買取両方の査定を複数社からまとめて受け取ることができます。住み替えの資金計画づくりの第一歩として、ぜひご活用ください。












